初めてのエアーブラシ『タミヤ パワーコンプレッサー』 “防振” 方法
先日いちおうシステム完成に至ったエアーブラシのセット。
ツール道具としては気に入っているのだが、何とも音がうるさい。
展示品で聞いたことあったけど、自分の部屋で動かすと予想外の騒音。
これをなんとか静められないかな、というのが今の課題。
「どうすれば騒音を減らせるか?」を調べつつ、”防振”と”制振”にわけてテストしてみた、その前編。
パワーコンプレッサー 騒音のレベル
置き場所について
エアーブラシは普通は椅子に座って作業するものなので当然、作業台がある。
コンプレッサーを机上に置くか机下に置くか、によっても聞こえ方が違うはず。
なので、試験運転させてノイズレベルを測ってみた。
測定条件について
1.作業台(仮)
用意した仮作業台は 横幅800×奥行500×高さ735mmの木製デスク、
DIY組み立て式の安いモノ。
背面は壁、片側面は掃き出し窓という場所。
パワーコンプレッサーと壁との距離は約10cmに設置。
このくらいの位置に座って作業するだろうという距離、80cmほど離しての測定。
デスク上⇧
デスク下⇩
2.気温と湿度
影響するか判らないが念のため記録。
室内環境は 気温25.6℃ 湿度55% 前後。
ノイズレベルの測定
1.電源オフ
5m以内にある電化製品は、デスクトップPC1台と天井のシーリングライトだけ。
この室内環境 35.5dB を基準とする。
2.電源オン
まずは作業台上にパワーコンプレッサーを直置きした場合。
80cm離れてのノイズレベルは 約60.8dB。
ブロロロロ~と耳障りな騒音・・・
次に作業台下の床上にパワーコンプレッサーを直置きした場合。
ノイズレベルは約60.4dBでほぼ同じ。
足元にも床の振動を感じる。
精密な測定機器ではないので、あくまで目安。
実際の測定値も±0.5dbくらい上下するので、小数点以下は誤差の範囲くらいに。
ちなみに、ハンドピースへの送りエアー圧は 0.2MPaで設定。
今回の測定で使ったサウンドレベルメーターと同型機。
パワーコンプレッサー 防音の対策
防音とはそもそも何なのか。
防音とは=吸音、遮音、防振、制振の4つの要素をふくめた総称
「防音する」というのは、これらの1つまたは複数の対策をすることらしい。
言い方を変えれば「この内の何れかの手段でノイズを減らせる」ということになる。
騒音として耳に聞こえる音は大雑把に言って2種類。
パワーコンプレッサーから直接聞こえる伝搬(空気)音と、
機械の振動が他に伝わる振動音 がある。
この大きな要因を抑えることができれば静かにできるはず。たぶん。
遮音・吸音か? 防振・制振か?
1. 遮音と吸音のちがい
遮音とは…遮音性のある素材で囲むか隔てるかして音を漏れなくすること。
吸音とは…多孔質な素材などで音(伝搬や反射)を抑えてしまうこと。
エアーコンプレッサーは基本的に室内で使う道具。
また稼働中にかなり発熱する。
なので「遮音」材でコンプレッサー自体を包み込んでしまうことはできないし、屋外に出してしまうという案も不可。
また工作室を吸音材囲む、いわゆる防音ルームにすることもウチでは無理。
つまり「遮音」と「吸音」という方法はちょっと難しい。
2.防振と制振のちがい
防振とは…振動源との間にクッション的な素材をおいて振動音を防ぐこと。
制振とは…振動源自体に素材を貼るなどして振動を減らすこと。
TAMIYAパワーコンプレッサーには、前面背面上面の3面を囲むようにアルミ製カバーが取り付けられている。
前後は放熱のためか開放されている。
つまり「遮音」板というより「防振」に近い役割で、このアルミ製カバーがついていると想われる。
底面にはゴム足がついている。これは1つの「制振」パーツと言える。
3.防振と制振のグッズ
これらを踏まえて、素人でもカンタンに出来そうな「防振」と「制振」で騒音を抑える方法を模索。
メインにするのは、この2つ。
写真⇩ タミヤ純正の防振マット
写真⇩ ワイドワーク製の鉛シート
1)防振グッズ
① パワーコンプレッサーの箱に緩衝材として入っていた 発泡ポリエチレンの板。
厚み約 10mm。
② 別途購入したTAMIYA純正オプション『コンプレッサー用防振マット(74554)』
厚み約 10mm。
③ ONKYO製スピーカーベース『AS-M108』
家にあったサクラ材の小型スピーカ用インシュレータ。
約35×35×22mm厚。
音響用品だけど防振グッズとも言えなくもないかも知れないので試してみる。
2)制振グッズ
④ WIDE WORK製の0.3mm鉛板『防音防振制振 鉛シート PL-21550-S』(銀色)
鉛板の厚みが0.3mmなのでハサミやカッターナイフで簡単に切れる。
また全面に両面テープが貼ってあるので、対象物に貼り付けられるのも便利。
防振グッズの効果を検証
まず、用意した3種類の“防振グッズ”を それぞれデスク上とデスク下に敷いて、防振効果(ノイズレベル軽減)の有無を測ってみた。
- 発泡ポリエチレン板(梱包材)
- コンプレッサー用防振マット(TAMIYA製オプション)
- スピーカーベース(ONKYO製)
1 デスク上に直接設置
コンプレッサーをデスク上に直置きした時のノイズ測定値は平均60.8dBだった。
(前述)
1.発泡ポリエチレン板(梱包材)
直置きとほとんど変化がない。
2.TAMIYA防振マット 1枚敷き
直置きより約 0.8dBのダウン。
3.TAMIYA防振マット 2枚重ね
直置きより約 1.3dBのダウン。
4.発泡ポリエチレン板+TAMIYA防振マット
TAMIYA純正の防振マット1枚敷きとあまり変わらない。
5.ONKYOスピーカーベース
これは音が増大した。
体感は直置きと変化ないように感じたが、数値的には約 1.5dBもアップしている。
さすがONKYO製、音が豊かになったのかも知れない。
6.ONKYOスピーカーベース+TAMIYA防振マット
スピーカーベースだけだと音量アップしたが、これをTAMIYA防振マットと併用すると、マット+梱包材の併用くらいまで下がった。
この理由が何故なのか? よく解らない。
2 デスク下の床に設置
コンプレッサーをデスク下の床に直置きした時の測定値は平均60.4dBだった。
(前述)
1.発泡ポリエチレン板(梱包材)
デスク上では変化が無かった発泡ポリエチレン板だが、床上敷きでは効果が出て、約 0.5db下がった。
2.TAMIYA防振マット 1枚敷き
発泡ポリエチレン板とほぼ同じ結果。
3.TAMIYA防振マット 2枚重ね
デスク下に床置きの場合、このTAMIYA防振マット2枚重ねはまぁまぁの効果がある。
直置きよりも約 1.7dbのダウン。
1枚敷きよりも約 1.3dbのダウン。
4.発泡ポリエチレン板+TAMIYA防振マット
今回の実験ではこの組み合わせが最低値(効果大)だった。
直置きよりも約 3.3dBダウン。
TAMIYA防振マットの2枚敷きよりも約 0.3dBダウン。
5.ONKYOスピーカーベース
デスク上の実験と同様、ONKYOスピーカーベースに乗せると音量がアップする。
6.ONKYOスピーカーベース+TAMIYA防振マット
しかし、スピーカーベースの下にTAMIYA防振マットを敷くと一気に約2dBも下がる。
TAMIYA防振マットがすごいのか、スピーカーベースとの相性がいいのか、謎。
7.ミニ台車
コンプレッサーをミニ台車に乗せたまま使うことも想定して“直置き”を測定。
これは全然ダメだった。
台車にはベアリングなど金属パーツが多いので、コンプレッサーの振動に共振してしまうせいだと想われる。
まとめ
測定結果
測定日:202x年7月14日
気温と湿度: 25.6℃ / 55%
室内音圧レベル: 35.5dB
設定エアー圧 :0.2MPa
デスクの上(dB) | デスクの下(dB) | |
直置き(敷き物なし) | 60.8(基準) | 60.4(基準) |
発泡ポリエチレン(梱包材) | 60.8(±0) | 58.9(-1.5) |
防振マット1枚 | 60.0(-0.8) | 58.7(-1.7) |
防振マット2枚 | 59.5(-1.3) | 57.4(-3.0) |
梱包緩衝材+防振マット1枚 | 60.2(-0.6) | 57.1 (-3.3) |
SPインシュレータ | 62.3(+1.5) | 61.0(+0.6) |
防振マット+SPインユレータ | 60.2(-0.6) | 59.0(-1.4) |
ミニ台車 | - | 60.9(+0.5) |
※( )内は、デフォルト状態からの変化値
結果からわかること
- コンプレッサー直置きの場合、デスク上でもデスク下でもほぼ同じ数値
- 梱包材の発泡ポリエチレン(10mm)とTAMIYA防振マット(10mm)の防振性能が同等
- TAMIYA防振マット2枚と 発泡ポリエチレン+防振マット1枚 の効果も粗同じ
- スピーカー用の木製インシュレータは直置きよりも音響効果アップw
- ミニ台車に乗せて制振性能を求めるのは無理
パワーコンプレッサー下に敷くだけのカンタン防振対策なら、僅かの差ではあるが梱包緩衝材+防振マット1枚 が一番効果があった。
TAMIYA防振マットはAmazon他で500円ほどで購入できるが、製品箱に入っている梱包緩衝材(発泡ポリエチレン板)ならタダなのでお得。
次は、
● 制振グッズのテスト へ つづく。