『Canon NB-13L バッテリー』充電方法の種類│比較 レビュー
CANONのコンデジカメラ『G7 X MarkⅢ』付属のNB-13Lバッテリーについて。
今回はそのバッテリーへの「充電方法の違い」を比較テストする。
充電方法の違い
バッテリー(NB-13L)の充電方法には主に3通りある。
- キヤノン純正チャージャー
- 社外品チャージャー
- カメラ内蔵のチャージャー
1 純正品チャージャー CB-2LH
G7 X markⅢにも付属しているキヤノン純正の充電器で、別売もされている。
アウトプットは「4.2V/0.7A]と記されている。
2 社外品USBチャージャー
バッテリーを2本同時に充電できるUSB給電のチャージャー。
このタイプの国内メーカー製見当たらず、現状は市販されているモノほとんどが中華製のようす。
今回は通販サイトで入手しやすい”WELLSKY”という製品を選んでみた。
アウトプットは「4.2V/0.8A」。
通常の充電器の場合、「3.7Vリチウムイオンバッテリーの充電圧上限は4.2V」という規格があるので、並記されている「8.4V」は関係ないと思われる。
3 カメラ本体PD充電
カメラ本体にある”PD充電機能”のために必要な電源アダプターPD-E1。
アウトプット側にあるUSB type-Cケーブルはアダプターに固定されている。
長さは2m。
ケーブルは、曲がりグセがなかなか直らないほど材質が硬め。
インプット100V側は抜き差し出来るメガネプラグになっている。
アウトプットに「9.0V/3.0A」(PD対応電圧)がある。
充電時間の比較
1 Canon CB-2LH
1.準備
CB-2LH充電器の充電電圧は4.2Vとなっている。
実際はどうなのか、リード線を小細工して計測してみた。
充電スタート時の電圧は「3.4V〜3.5V 」あたりだった。
2.充電計測
改めて電池を空の状態にして、充電時間を計る。
充電スタート。
充電完了。
時間は 126分33秒=2時間6分33秒だった。
2 WELLSKY Dual Charger
1.準備
USBケーブル経由で別の急速充電器から電源供給してもらう充電スタンド。
インプット側には”USB type-C”と”micro USB(type-B)”の2口が備わっているが、表記によればどちらも5V入力で同じになっている。
製品にはmicro USBケーブルが付属しているのだが、ここでは使用頻度が多くなるはずのUSB type-Cケーブルを別に用意して充電してみることに。
これに併せて、USB type-Cの急速充電器と電圧/電流テスターも用意した。
2.充電計測
急速充電器、USB type-Cケーブル、テスター、本Dualチャージャーを繋ぐ。
電池マークの枠2つ(CH1 CH2)が点灯し待機状態になる。
参考までに入出力の電圧をチェック。
Dualチャージャーへの入力は約5.1V、充電端子での電圧は4.5Vだった。
1)バッテリー1個の場合
2つあるポートのうち、まずCH1側を使って充電スタート。
初期の電圧は5.03V、電流は0.72A。
インジケータの1目盛り(約25%)が点灯するまでに 1時間36分… 遅?
充電完了(インジケータ全灯)には 2時間56分かかった。
2)バッテリー2個の場合
同じ充電システムのまま、空にしたバッテリー2本挿しで充電する。
つまり、製造年が何年も違うバッテリーでは元から性能(容量)に差がついてしまうし、何度も使っている中古と新品ではなおさら充電時間に差が出るはず。
なので製造年月が同じ新品のバッテリーを用意してテストに臨んだ。
本題に戻り、充電スタート。
測定値は1本挿しの時とは異なり、電流は約2倍の1.41Aとなっている。
まずCH2ポートのインジケータが1つ点灯した。
時間は 1時間21分。
CH1ポートのインジケータも1つ点灯。
時間は 1時間33分 (CH2に遅れること12分後)。
なんで同じ時期の新品バッテリー2本なのに差が出るのか・・・
気になるところだけどこのまま充電観察を続ける。
CH2ポートのインジケータ2つめが点灯。
時間は 1時間47分。
CH1ポートのインジケータも2つ点灯。
時間は 1時間56分 (CH2に遅れること9分後)。
1目盛り約25%なので、2つ点灯で約50%充電されていると推測。
さらに充電が進み、CH2ポートのインジケータ3つめが点灯。
時間は 2時間31分。
この時点で、純正チャージャーの充電タイム2時間10分を超えてしまった。
CH1ポートのインジケータも3つ点灯。
時間は 2時間41分 (CH2に遅れること10分後)。
CH2ポートのインジケータ4つめが点灯し、満充電。
時間は 2時間52分。
CH1ポートのインジケータも4つ点灯し、充電終了。
時間は 2時間54分 (CH2に遅れること2分後)。
初め12分の差がついていたCH1とCH2であるが、充電終了時の差は2分だった。
結果的には大差のない充電時間だったのだが・・・
このインジケータがどこまで正確に1目盛り25%を表示しているのか、結構いい加減なのかもしれないと想える。
3)1次側の急速充電器を換えてみた場合
入力側の充電器パワーによって差があるかも知れないので、比較テストしてみた。
まず Anker 523 (PD 47W)。
Anker NanoⅡ (PD 45W)。
RAVpower PC133 (PD 65W)。 ※USB type-Cポート側
結果「電圧約5.0V、電流約0.7A」で、充電時間もほぼ同じだった。
3 PD-E1 to G7X markⅢ
1.準備
電源アダプターPD-E1は直接カメラに接続できるので他に用意するものは無い。
本来はカメラのUSB type-C充電ポートに直接挿し込むのだが、
今回は「電圧/電流を計測したい」ので、充電ポートにUSB-Cテスターを挟んだ。
2.充電計測
バッテリーが空の状態なのを確認。
充電スタート。
充電スタート時の電圧は9.03V、電流は0.40Aあたり。
1時間が経過した様子。
1時間30分あたりで、電流が0.17A台に落ちてきた。
充電完了 (インジケータ消灯)。
時間は 102分47秒=1時間42分47秒だった。
ちなみに充電終了時の電流は約0.02A。
USB-Cテスターの抵抗は僅かだと思うが、念のため、直接カメラに接続しての充電時間も計ってみた。
結果、充電終了まで 103分10秒=1時間43分10秒。
USB-Cテスター経由とほぼ同じだった。
4 PD急速充電器 to G7X markⅢ
1.準備
キヤノン純正PD-E1のアウトプットは「9.0V/3.0A」となっている。
もしかして、
「同じPD対応の9V急速充電器なら、PD-E1の代用になるのではないか?」
という疑問(期待)を実験してみることにした。
上記 WELLSKY Dual Chargerでの電源にも使った Anker 523 PD対応チャージャー。
アウトプットに「9V/3A 15V/3A 20V/2.25A」の表示がある。
ここでもUSB-Cテスターを使用する。
2.充電計測
充電スタート。
充電スタート時の電圧は8.96V、電流は0.46Aあたり。
1時間が経過した様子。
1時間30分あたりで、電流が0.18A台に落ちてきた。
充電完了 (インジケータ消灯)。
時間は 1時間44分くらいで、PD-E1とあまり変わらない結果になった。
3.充電中のカメラ電源オンオフ
G7 X markⅢでPD充電する場合、基本は電源オフで行うのだが、充電中でもカメラの電源をオンにできる仕様となっている。
これは長時間撮影など、バッテリーを入れ換えずに連続給電するための仕様。
ただ電源オンにすると充電は止まり (充電ランプ消灯)、カメラが消費する電流の供給に切り替わる。
写真⇩ 充電中にカメラ電源オンにした様子。「8.99V、0.23A」と読み取れる。
そのまま動画撮影を始めると電流値が上がる。
まとめ
充電テスト結果
3通りの充電方法による時間順位はこちら。
1位 > G7X markⅢ 本体で充電 (CANON/PD-E1 または Anker/523による)
2位 > CANON純正チャージャー CB-2LHによる充電。
3位 > 中華製のWELLSKY-Dual。1本でも2本でもほ同じ。
CB-2LH | Dual 1本 | Dual 2本 | PD-E1 | Anker523 | |
電圧 (V) | 3.40 | 50.3 | 4.93 | 9.03 | 8.94 |
電流 (A) | - | 0.71 | 1.41 | 0.41 | 0.46 |
充電時間 | 2h6m33s | 2h56m10s | 2h54m33s | 1h42m47s | 1h44m0s |
※バッテリーは新品を使用
※電圧電流は初期の平均値
1位のPD充電について。
CB-2LHを標準として、PD充電は30分も短縮された。
公式には「PD-E1で」とあるが、他社製のPD充電器でもOKなことも判った。
3位(最下位)のWELLSKYについて。
標準CB-2LHより50分も長くかかった。
同じ製造年月の新品バッテリーでテストしたのだが、充電ポートCH1とCH2で数分の差が付いたのも気になるところ。
バッテリーを空にしたつもりでも残量に差があったのか、チャージャーの不良品だったのか、、、原因は不明。
まあ誤差と言えば誤差の範囲かも知れないが。
PD充電について
1.カメラ本体充電について
markⅢの前モデル、G7 X markⅡにもカメラ本体にバッテリーを内蔵したまま充電できる機能はついてた。
しかしこれに使う電源アダプターCA-DC30が「5V、0.55A」と非力なため、充電に約5時間もかかる仕様だった。
markⅢではこの点が改良された。
PD対応になって充電時間が短縮され、充電ポートもmicro-USBからUSB type-Cに変更となった。
2.PD-E1充電器について
PD充電は速くて良いのだが、このPD-E1はちょっと使いにくい。
それは本体の大きさと重さ。
100×58×33mm、277gもある。
さらに困るのは、USB type-C側のケーブルが本体に固定されていて外せないこと。
ケーブルは2mあるが、もっと長くしたいor短くしたい、という対応ができない。
そしてケーブルが硬くて曲がり癖がなかなか直せず、取り回しに苦労する。
この重さやケーブルの使い難さを考えると、PCやスマホ用に既に持っている小型PD充電器+好みのUSBケーブルで十分 と言える、
というかその方が良い。
まとめ感想
カメラ本体でもPD充電できるようになったのは便利だが、普通にバッテリーを充電したい場合は、やはり純正の充電器CB-2LHが一番使いやすい。
理想は100Vからでもモバイルバッテリーからでも、(カメラ内蔵ではなく)単独でPD充電できるチャージャーがあって欲しいのだが、今のところ純正品にも社外品も無い。
なので複数のバッテリーを同時に充電したい場合、現状ではCB-2LHを複数台用意する手段が最良に思う。