車載│12V用『Anker Power Drive チャージャー』PD│IQ
❝PowerDrive❞はAnker社の12V用シガープラグ急速充電器。
クルマのシガーソケット(別名アクセサリーソケット)に挿して使うタイプである。
実際にどんなものなのか。
この2機種を試してみる。
- Power Drive+ Ⅲ
- Power Drive Speed+2
※Power Delivery(=PD)対応 POWER DRIVEⓇ ⇒ 略してPD&PD。
👉メモ 充電器での用語をおさらい
Power Delivery(PD)・・・USB-IF団体が策定した最大100W受給可能な規格。
PowerIQ・・・ANKER社独自のUSB充電スマート機能。
Quick Charge・・・米QUALCOMMが開発したスマホ急速充電規格。
1. PowerDrive+ Ⅲ
PowerDrive+Ⅲは「PowerIQ 3.0」に対応した充電器。
「3.0」が対応できる最大出力は規格上100W。
でもこの充電器自体は2つのポート合計でmax50Wまでになっている。
仕様
- PowerIQ 3.0(Gen2)搭載
- USB PDにも対応
- USB type-C ×2ポート
- 最大50W(2ポート合計)
- 小型軽量 約36mmΦ×76mmL/38g
開封
外箱はいつものANKERホワイト×ブルー。
大きさは横97mm×縦107mm×厚40mm(約)。
中身は充電器本体と説明書のみ。
外観
正面中央に「IQ3」のロゴが見える。
その上下にUSB Type-Cポートが2つ。
側面には「車載充電器、品番A2229、Input12V/24V…」などと書かれている。
サイズ
直径は約36mm。
長さは約69mm。
プラグ先端のプラス極を入れると76mmになる。
重さは約37g。
充電テスト
1.準備
1)充電ポート
IQ3.0の出力ポートは2つあり、どちらもUSB Type-C。
前面にプリント表示があるが、上側が最大30W、下側が最大20Wとなっている。
どちらでも良いのだが、スマホなら20Wで十分と思い下側ポートを使ってみる。
ちなみに、
「Quick Charge」は米国QUALCOMMが開発したスマホ急速充電の規格。
USB-IF(USB規格推進団体)によるPD規格とは別物である。
またANKER社の充電器に見られる「PowerIQ」は”ANKER独自”の急速充電機能。
接続された機器に最適な電力を自動的に選択して充電する、というお利口な技術のことである。
2)親電源
直流パワーサプライにはToolkitRCのP200。
3)USBマルチメータ
電流値の計測にはUSB用のマルチメータが必要。
写真⇩ RUIDENG TC66 Type-C端子のテスター
このUSBテスターはプロトコルトリガーを備えているが、通常充電のテストなの、このスイッチはOFFにしてテストする。
※本体にあるPD印字はPullDownスイッチの意
4)一次電源の準備
P200にて電流値を5.0A、電圧値を12.0Vに設定。
机上でテストできるように、クルマ用アクセサリーソケットも用意。
P200からのプラス(+)とマイナス(-)をそれぞれクリップでつなぐ。
P200の左ジョグダイアルをクリックすると給電開始。
通電状態を示す青色LEDが点灯する。
5)スマホの準備
このカーチャージャーで充電テストするスマホ(Xperia)を用意。
Quick Charge3.0対応であるが、PDには対応していない旧機種。
テスト用スマホの充電池容量は2900mAh。
使用するUSBケーブルは2.4A仕様。
スマホの状態は、クルマでの使用を想定して通常モードのまま(画面スリープOFF、ネットワークON、いたわり充電ON)とした。
2.充電
今回テスト使用するスマホはPD未対応。
充電器にあるポートは2つともPD対応のType-Cになっているが、PD非対応スマホなので当然、PD充電は行われない。
よって、PowerIQによる自動判断に任せて充電されることになる。
電池残量5%から充電を開始。
電圧値は約9Vから始まっている。
実際の電流値は1.3A~1.5A以下。
Type-Cポート出力が最大20Wなので、20W÷9V≒2.6A
途中経過。
84%までにかかった充電時間は100分(約1時間40分)。
84%あたりから一気に減速。約5V、0.5A~0.6A。
やっと満充電。
5%から100%までの充電時間は約140分(2時間20分)だった。
ちっとも急速ではないのは、恐らくスマホ側の能力のせい?
2. PowerDrive Speed+ 2
PowerDrive SPEED+ 2 は「PowerIQ 2.0」と「PD」を備えたモデル。
PD専用ポートはUSBのType-C、PowerIQ2.0はUSB3.0になっている。
※PD=Power Delivery
仕様
- Power Delivery 専用ポート (USB Type-C)
- PowerIQ 2.0搭載 (USB3.0 A)
- 最大48W(PD最大30W、IQ2.0最大18W合計)
- 小型軽量 約36mmΦ×76mmL/40g
開封
外箱の大きさは横97mm×縦107mm×厚40mm(約)。
外観
上にPDポート、下にIQ2.0ポート。
正面のUSBポートを除けば、大きさも形もPOWER DRIVE+Ⅲとほぼ同じ。
サイズ
直径は約36mm。
長さは約69mm(先端のプラス端子を除く)。
重さは約40g。
充電テスト
1.準備
1)充電ポート
この充電器には、PD用のType-Cと通常PowerIQのType-Aの2口がある。
今回のテストでは、以下の2通りを行う。
① PD未対応のスマホをあえてPDポートで充電
② PowerIQポートによる通常の急速充電
2)親電源
直流パワーサプライは同じくP200。
そして車載シガーソケット。
3)USBマルチメータ
USBテスターTC66も用意。
ケーブルをつなぎ、パワーサプライP200の電源を入れ12.0Vを給電。
PowerDrive Speed+2も青いLEDリングが光る。
4)テスト用スマホ
テストに使うスマホは前回と同じ、充電池容量は2900mAhでPD非対応。
クルマでの使用を想定して、画面スリープOFF(点いたまま)、ネットワークON、いたわり充電もON。
使用するUSBケーブルは2.4A仕様。
2.PDポート充電
電池残量は5%。
初期の電圧値は約5V、電流値は1.4~1.5Aでスタート。
途中経過。
電流値は0.7Aまで落ちている。
87%までにかかった時間は108分(1時間48分)。
満充電までは151分(2時間31分)。
3.PowerIQポート充電
次にIQ2.0ポート(USB3.0)をテストしてみる。
使用するUSBケーブルは同じ。
USBテスタTC66がType-Cのため、充電器のUSB-Aにはそのまま挿せない。
なので、USB-A↔USB-typeC の変換コネクタを中継する。
写真⇩ Mcdodoの変換コネクタ(右)は5V/3A対応タイプ。
P200給電ケーブルとシガーソケット+充電器PowerDriveをつなぎ電源ON。
充電スタート時の電圧値は約9V、電流値は1.3~1.4A。
途中経過。
50%までの充電時間は約33分。
85%までの時間は82分(1時間22分)。
電圧値は6.5V、電流値は0.6Aまで抑えられている。
満充電までは130分(2時間10分)。
まとめ
充電テストをまとめた表。
PowerDrive+ Ⅲ | PowerDrive Speed+ 2 | ||
充電ポート | PD/IQ3.0 (Type-C) | PD (Type-C) | IQ2.0 (USB3.0) |
電圧/電流(開始時) | 8.9V/1.36A | 5.0V/1.45A | 9.1V/1.37A |
充電85%まで | 100分 | 105分 | 82分 |
充電100%まで | 140分 | 151分 | 130分 |
Speed+2 PD専用ポートでの充電について。
先ずはPD非対応の古いスマホでの実験であることを再確認。
その上でPDポート充電をしたが、何のメリットもなく時間がかかるだけだった。
非対応の機種をここに挿しては時間の無駄。
Speed+2 PowerIQポートでの充電はどうか。
PowerIQ3.0(Gen2)とPowerIQ2.0の大きな違いは、PDに対応しているか否かである。
よってPD充電しないなら3.0でも2.0でも同等の結果になるのでは、と想像したのだがちょっと違った。
今回のテストではIQ3.0(PowerDrive+Ⅲ)よりも下位のIQ2.0(PowerDrive Speed+2)の方が速く充電できた。
同じIQ技術のはずなのに何故だかよく解らない。
結論としては、PD対応のスマホと非対応の旧スマホどちらも充電したい場合、PowerDrive Speed+2 の方が良い結果となった。