【DIY修理】シヤチハタ『回転式 日付ゴム印』分解│修理方法

修理

ゴムが切れ修繕スタンプDIY修理│その手順  

 

仕事で毎日使っているシヤチハタの回転式日付スタンプ。

ゴムの劣化でちぎれてしまった数字のベルトを修繕/修理する。

ⒸShachihata

 

 

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壊れた 回転ゴム印  

直すのは【回転ゴム印 エルゴグリップ欧文日付 ゴシック体 3号】というモデル。

 

ⒸShachihata

 

シヤチハタネーム”という名を知らない人はまずいない。

ハンコ、スタンプならシヤチハタと云われる日本を代表する判子文具メーカーShachihata

※ちなみ「シャチハタ」でなく「シヤチハタ」らしい。

 

同じような製品はコクヨなどからも出ているが、エラストマ樹脂の握りやすいグリップとかブルー基調の色デザインとか断然シャチハタの方が良いので愛用中。

 

 

 

回転ゴム印の修理

どんなに良い商品でも長年酷使していれば経たったり壊れたりしてしまう。

壊れたら「買い替える派」が多いかも知れないが、自分みたいに「直して使う派」もいるはず。

 

 

1 準備するもの

写真の上から右下へ。

 

  パーツクリーナー 油成分を洗浄する缶スプレー。ゴムやプラスチックOKのモノ。

  接着補助の板とクリップ接着剤の乾燥待ちの間、素材に圧力をかけて保持する。

  ゴム系接着剤今回の修理で必須アイテム。乾燥後も弾性を保つ『ゴム系』を。

  ピンセット分解や組み立てや洗浄時にあれば便利。

  歯ブラシクリーナー洗浄時にゴム印面の汚れ落としに使用。

 

2 洗浄と分解

1.洗浄する

インクの汚れでゴム印部分も本体ハンガーも真っ黒な状態。

破損個所を調べる意味でも、まずクリーナーで汚れを落とすことから始める。

 

パーツクリーナーと呼ばれる油性成分を脱脂できる汚れ落としスプレー缶を用意。

 

必ず確認すべき点は「ゴム製品やプラスチック製品に使用可」なモノを使うこと。

そう書かれていない“強い洗浄タイプ”を使うと、樹脂を溶かしてしまったり、ゴムを劣化させてしまうので注意。

 

汚れている部位を中心にスプレー。

大量に吹きかける必要は無し(もったいない)

 

クリーナー液が揮発しないうちにすぐ歯ブラシ等で擦る。

 

少しスプレーしては歯ブラシで擦り取る、を繰り返す。

 

歯ブラシで汚れを浮かせ、エアブロウ缶で細部の汚れを吹き飛ばす方法も有効。

 

💣 ここで問題が発生

歯ブラシで汚れを擦り取っている際に、ゴム印ベルトの1本が切れてしまった。

たぶん以前から切れかけていたのかも知れない。

早期発見できたので 返って良かった ということにして後で修理する。

 

2.本体を分解する

本体の両側に、回転ダイヤル(回転子ともいう)を固定している(+)プラスのネジが2本ある。

 

このネジを緩める。

 

両側2本とも緩めると、ゴム印ベルトと回転ダイヤルが軸ごと外れる。

 

ゴム印ベルトと回転ダイヤルを分けた様子。

 

分解した全パーツを並べてみた。

ゴム印ベルトの順番が判らなくなりそうだけど心配無用。

 

Shachihataサイトにも商品画像があるので大丈夫。

 

写真⇩ シャチハタ(欧文日付 ゴシック体 3号) 印字ベルト並び順

印字ベルトの内容 ⒸShachihata

 

3.ゴム印ベルトのチェック

外したベルトの、数字ブロックの1つ1つを細かく観察して、裂け目や剥がれの有無をチェックする。

 

ベルト側のひび割れのひどい部分。

 

数字印ブロックが剥がれかけている部分。

 

数字印ブロックが完全に取れてしまっている部分。

 

3 接着修理

1.作業前の注意

👉 ポイント1 ・・・接着剤は必ずゴム系のモノを使う

回転式のゴム印という特性上、ゴムベルトが使用時に伸び縮みするので、それに対応できるよう乾燥後も柔らかいゴム系接着剤が適する。

瞬間接着剤 などは剥離してしまうので不向き

 

👉ポイント2・・・接着の作業時間にも注意

チューブから出した(空気に触れた)接着剤はすぐに硬化を始める。

出したばかりの接着剤はゆるいハチミツのような柔らかさ。

それが数分後には固まり始めて水あめのようになり、その後はグミくらいまで固形化していく。

なのでかなり手早く塗り作業をしないといけない

 

作業の許容時間は、25℃の室内で15~20秒くらい、遅くても30秒までが目安。

何分も経ってしまうと表面から渇き始めて固くなり細部に流し込めなくなるため、作業性が一気に悪くなる。

(まったく出来なくなるという意味ではなく、粘度が上がってベタ付き始め、伸びも悪く、不要部分の拭き取りも困難になるということ)

 

👉ポイント3・・・接着剤のチューブにも注意

接着剤は小まめに出した方が良い。

数か所分ごと、少量の接着剤をその都度出す、というような感じで。

 

そして面倒でも1回1回、接着剤チューブのフタを締める

フタ開けっ放しでずっと作業していると、チューブ先から内部の接着剤もどんどん硬化をはじめちゃう。

 

2.剥がれかけた数字ブロックを補修接着

完全に切れてしまった1本を除き、他の4本のベルト中の剥がれている部分を順に補修接着していく。

 

3.接着剤を乾燥させる

4本とも部分補修を貼り終えたら、まとめて圧力を加えて押さえ込む。

 

24時間以上は保持しないといけないので、挟み込める板を2枚と万力状のクランプを用意すると便利。

無ければ板と輪ゴムでも代用可。

 

4.切れたゴム印ベルトをつなぐ

4本の乾燥を待ちながら、続いて完全に切れたベルト輪になるようにつなぐ。

同じ要領で、手早く接着剤を塗り、貼り合わせる。

 

5.再び接着剤の乾燥を待つ

こちらも24時間以上、板に挟むなどして乾燥を待つ。

 

4本のベルトの補修と1本の切れたベルト繋ぎまで、接着剤を小出しにしながらトータルで1~2分で済ませる感覚。

とにかく手早く接着剤を塗り、初期乾燥が始まる前に、板に挟んでプレスすることがポイント。

 

6.乾燥は24時間以上

完全硬化には最低でも24時間。

 

空気中の湿気と反応する接着剤とのことなので、湿気を通しにくい素材(ゴム印も含まれる)はより長い時間が必要と説明書にある。

大事を取るなら48~96時間以上(室温が低い時期は数日間)は動かしてはいけない。

作業時の室温はおよぞ27℃。湿度は50%前後。

 

温度と湿度は乾燥時間に大きく影響する

 

約48時間ほどプレス乾燥させてから、クランプを外した。

 

7.乾燥後の各所チェック

接着剤の部分はおおむね上手く補修できたのだが・・・

板に挟まれて180度曲がっていたベルト部分に別の亀裂ができてしまった。

これはちょっと失敗。

 

この亀裂部分に改めて接着剤を塗って、再び乾燥させないといけない。

 

8.剥がれた数字印ブロックの接着

板に挟んでの乾燥保持は、ゴム印ベルトの折れ曲がり部分に負担がかかることが判ったので(遅いけど)今後は方法を変更。

 

ゴム印ベルト内径と直径が同じ円筒形の瓶を用意し、使用時の状態に近い円形の状態で接着と乾燥をすることにした。

 

ゴム印ベルトの内径はおよそ29mm。ちょうどサイズの合う 外径29.5mm の容器があったのでこれを利用。

 

数字印ブロックの位置に薄め均等に接着剤を塗る。

 

目安はチューブから出して10~20秒以内、すばやく塗ってすばやく貼りつける。

 

接着剤が少々はみ出しても後で掃除できるので、気にしないでOK。

なによりも急いで貼ることを心掛ける。

 

9.乾燥まで固定する

数字ブロックを全て貼り終えたら、その上からテーピング等をして軽く圧着。

乾燥中に緩まないよう、伸びないテープで2~3重に巻く。

 

10.乾燥後のチェック

改めて48時間ほど乾燥を待った後、慎重に固定テープを切り離す。

 

ゴム印ベルトを並べて、接着した個所を1つ1つチェック。

OKだったら、組み立て復元作業に移る。

 

もし接着剤のはみ出し等があったら、先細のピンセットで丁寧にゆっくり引っ張ってやると除去することができる。

印字ブロックが剥がれないよう、指で押さえつつ、余分な接着剤だけをつまむ。

 

4 組み立て

1.組み立ての準備

ゴム印ベルトは全部で5本。

それぞれ太さが違っていて、日付を回すダイヤル部品(黒いプラスチック)も合わせた厚みになっている。

 

まず、これらを組み立て前に順番通りに並べる。

 

数字の入ったゴム印ベルトは見てすぐ判別できるが、黒いプラスチック部品は1つ1つ厚みをチェックして並べておいた方が良い。

 

2.ダイヤル部品の順番

シャチハタ 欧文日付 ゴシック体 3号』の場合

右から1番めは「アポストロフィ」付き数字(例 ′2)のあるベルト用。

5.3mm厚。

 

右から2番目は「年」の漢字があるベルト用。

これも5.3mm。

 

3番め中央は「年度」の文字が入り唯一太いベルト用。

8.8mm。

 

4番目は合計の「合」の字が入るベルト用。

3.8mm。

 

最後の5番めは合計の「計」の字が入るベルト用。

これも3.8mm。

 

3.回転ダイヤルと軸

3.8 – 3.8 – 8.8 – 5.3 – 5.3(mm) 」の順番でダイヤル部品を並べて、軸パイプ(真鍮)に通していく。

 

写真の左端のダイヤルの前には “透明の仕切り円板” が入るので注意する。

 

4.ゴム印ベルトを掛ける

中央の太いゴム印ベルトからダイヤルに掛けていく。

 

計 – 合 – 年度 – 年 – ′(アポストロフィ) 」の順番に並んでいればOK。

 

5.本体に組み込む

ゴム印ベルト+ダイヤル+軸パイプを慎重に本体金具の間に挟む。

 

写真⇩のピンセットを差し込んでいる位置に、印面支持金具が入る。

 

印面支持金具を入れたら、ダイヤル軸を本体奥(グリップ側)にスライドさせて定位置にセットする。

 

6.ネジで固定する

全てが本体にセットできたら、2本のネジでダイヤル軸を固定する。

 

反対側もネジを締め込む。緩みやすい部品なので固く締め付けておく。

 

5 修理の完了

 

今回使用した道具。

 

 

まとめ

回転式だけど部品の数は少なく、構造も簡単なのでそんなに難しくはなかった。

 

手間がかかる部分と言えば、接着剤の取り扱いかも知れない。

まさに時間との勝負。

ゴム系はとくに粘性が高い接着剤で、チューブから出し外気(湿気)に触れるとすぐ固まり始めてその粘度を増す。

 

これがとても厄介。

 

接着剤チューブの先や作業台や掃除用ティッシュなど、至る所でベタベタべたべたと貼りつくし、それを剥がそうとすれば糸を引くし、指にもまとわりついてきてまぁ大変な作業だった。

 

パーツクリーナーとキムワイプも大量に消費した 。

何だカンだ新品スタンプの半額くらいは費用がかかっているかも?

 

でもこうして無事に直ってまた使えるようになれば、うれしいのである。

 

 

 

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