国立天文台│NAOJ 監修『 天体望遠鏡』組み立て│レビュー
以前、学研STEAM教材の『UltraMoon天体望遠鏡』キットを作った。
過去記事は ➡ こちら。
今回は、学研よりも前に発売されている“国立天文台監修”天体望遠鏡を作る。
「一家に1台、一校に1台」をコンセプトに国立天文台がプロデュース。
こちらも仕組みを勉強しながら組み立てられる教材仕様になっている。
Vixenオンラインストアで購入可能。
特徴
製造元はVixenらしいNAOJ望遠鏡の特徴。
- 国立天文台が設計から製造までプロデュース
- 直径50mm口径アクロマート(色収差)対物レンズ
- 交換式の接眼連ス(16倍と66倍)
- 最大径66mm×全長450mm(最短)
- 三脚ネジ穴付き
- M2.5ネジ×8本だけのカンタン組み立て
組み立て
1 開封
紙箱パッケージ L379mm×W172mm×H79mm。
側面には注意書き。
帯包装にダンボール梱包箱が入っている。
納品書と一緒に“盲導犬応援プロジェクト”の小冊子が入っていた。
2 内容
鏡筒の部品は全てプラスチック製、レンズはガラス製。
金属のパーツはなく、組み立てネジのみが金属。
① 組み立て説明書
② 鏡筒(左右二分割)×1本
③ ドローチューブ(鏡筒に組み合わせ済み)×1本
④ アイピースアダプタ ×1個
⑤ 対物レンズ ×1枚
⑥ 接眼レンズ群(白養生紙包装)×4枚
⑦ 小物ビニル袋(ネジとナットなど)
⑧ アイピースパーツ(左右に分割)×2組
⑨ アイピースエンド目当 ×2個
👉ちょっと困ったこと
箱の中にある説明書冊子の折り癖がすごい。
厚手紙なのでクセがなかなか直せず、平たくして読めないのでとても扱い辛い。
なので平板に挟んで重石して一晩寝かせた。
いろんな製品で稀に思うことだけど、冊子タイプの説明書をガッチリ跡がつくほど折り込んで包装するのは、読みにくいし保管もしにくいしやめて欲しい。
3 組み立て準備
1.説明書
図解入りで判りやすいが、モノクロ印刷でカラー写真はない。
漢字のフリガナの入り方を見ると、中高学年以上を対象としている感じ。
冊子の後半は英語。
2.部品の確認
部品の名称と個数を確認しておく。
ビニル小袋には 下図ⓂからⓇまでの小ネジや六角ナットが入っている。
小さいけど、組み立て用のドライバー(+)も付属している。
3.注意事項
【使用時と保管時の注意事項】
- 太陽を覗かないこと
- 直射日光の当たる場所に放置や保管をしないこと
【組み立て時の注意事項】
- レンズを素手で触らないこと
- 鏡筒内部にゴミやホコリを入れないこと
組み立て時は新品の白手袋などを着用。
手袋をしていてもレンズ表面には触れず、必ず側面を持つ。
また埃を掃う時はエアダスターなどを用いる。
レンズをティッシュで拭いたり、埃を息で払おうとしてはいけない。
(傷と汚れにつながる)
4.用意するもの
直接レンズや鏡筒内を触ってしまうと皮脂汚れをつけてしまう。
なので、白手袋など&埃を掃うエアダスターを用意する。
あとキット付属のドライバーはとても小さいので、作業しやすい(+)ドライバー#1もあると便利かも。
4 パーツのチェック
1.鏡筒
長さは300mmちょうど。
鏡筒の先端部の最大径は約67mm。
中央部分は約55mm。
三脚ベースの部分は約60mm。
重さは138g。
2.ドローチューブ
長さは118mm。
直径は中央の胴径で約49mm。
重さは48g。
3.アイピース 大
アイピースボディ大の長さは約47mm。
直径は最大部で約31.8mm。
最小部で約16mm。
重さは2ピースで13g。
4.アイピース 小
アイピースボディ小の長さは38mm。
直径は最大部で約32mm。
最小部で約16mm。
重さは2ピースで8.5g。
5 組み立て手順
1.鏡筒部
1)鏡筒パーツを開く
まずねじ込み式のロックリングを外す。
ロックリングを外すと、鏡筒もバラバラになる。(まだネジ固定されていないため)
2)対物レンズをつける
1⃣ 位置確認
対物レンズは梱包箱の中央部にある。
白い養生紙に包まれている一番大きなレンズ。
説明書で、取り付ける場所と取り付ける向きを確認。
レンズは2枚合わせのガラス製。
直径は約50mm。
重さは32g。
2⃣ 取り付け
注意点は2つ。
レンズを手指で持たないこと。
鏡筒内にゴミやホコリを入れないこと。
対物レンズは2枚のガラスを合わせて作られている。
丸みのある凸側が外部(先端側)になる。
写真⇩ 左側が望遠鏡の先端側
3)三脚接続ナットをつける
六角ナットは三脚ネジ(1/4インチUNC)対応サイズ。
重さは2g。
鏡筒の中央辺りにある三脚台座に、この六角ボルトを埋め込む。
4)ドローチューブをつける
ドローチューブも二分割のパーツ。
ネジや接着剤はなく、ただ合わせて一体にして鏡筒にはめ込めばOK。
5)鏡筒をネジ止めする
対物レンズとナットを入れた鏡筒(半割)にもう片側の鏡筒(半割)をかぶせる。
半割鏡筒2つを合わせたら、まずロックリングを取り付け回して仮固定する。
付属のM2.5ミリねじのうち、長い4本を用意。
(+)のドライバーで締め付け固定する。
対物レンズ側に2本、接眼レンズ側に2本。
2.アイピース部
1)部品の組み合わせを確認する
アイピースは2種類を組み立てる。
ボディの大きい方が16倍、ボディの小さい方が66倍。
アイピース内に組み込むレンズ部品は10mm前後と小さい。
取り付ける向きにも指定があるので、取説の図をてよく見てから作業する。
2)アイピースを組み立てる
1⃣ アイピース大(×16倍)
アイピースボディの大きい方と、接眼レンズ部品2種類を使う。
接眼レンズ2枚のうちの大きい方。
直径は約21mm。
重さは2.3g。
接眼レンズ2枚のうちの小さい方。
直径は約11mm。
重さは0.4g。
アイピース内にレンズをはめ込む。
説明図をよく見て、レンズの膨らんでいる方(凸)を左向きに揃える。
向きを確認したら、アイピース内にゴミ埃が無いか確認。
エアブロウを弱風で吹いてキレイにする。(強風だとレンズが吹っ飛んでいく)
M2.5mmネジの短い方×2本で締め込む。
ネジ固定の後、アイピースエンド(目当)部品を取り付ける。
ここにネジは必要なし、押し込めばスナップ式にパチンっとはまる。
“アイピース大”の完成。
2⃣ アイピース小(×66倍)
アイピースボディの小さい方と、接眼レンズ部品の残り2つを使う。
接眼レンズは2枚とも同一品。
直径は約9mm。
重さは0.7g。
アイピース内にレンズをはめ込む。
2枚のレンズの膨らんでいる方(凸)が内側に向き合うように揃える。
【注意】絶対にやってはいけないこと
レンズの表面をピンセットや指で触ってはいけない。
レンズの組み込みが済んだら、アイピースパーツを重ねる。
その前にアイピース内にゴミ埃が無いか確認。
見えて無くても微塵があるかもしれないので、念のため弱風でエアブロウしておく。
M2.5mmネジの短い方×2本で締め込む。
ネジ固定の後、アイピースエンド(目当)部品を取り付ける。
“アイピース小”の完成。
3⃣ アイピース大小 完成
3)アイピースアダプタの取り付け
鏡筒の尾部側に、アイピースアダプタを取り付ける。
ねじ込み式でクルクル回して取り付ける。
3.ファインダー部
1)照門と照星
鏡筒の上面には、対象の天体へ向けるための指標?照準?がついている。
正確には「照星」「照門」と呼ぶらしい。
2)蓄光シール
この照星の部分に、目印の蓄光テープを貼る。
6 オプション
1.三脚
鏡筒の下には三脚用台座が用意されているが、三脚は商品には含まれていない。
なので今回は、室内展示にもできるMabbfrotto社のミニ三脚 MTPIXI-Bを用意。
2.スマホ撮影用のガイドリング
こちらは製品付属のスマホ撮影用のパーツ。
外径22mm×内径12mm×厚み6.5mmのドーナツ状。
アイピース(大小)のエンド目当にピっタリサイズ。
ただ使い勝手的にはオマケ程度のパーツ。
ガイドリング片面が両面テープになっていて、使用時にスマホのカメラレンズ部に貼り付けて撮影する。
つまり撮影の度に貼ったり剥がしたりしなければならず、あくまで簡易的なモノ。
完成
組み立て工程の全てが完成。
全体がプラスチック製で、全身真っ黒な仕上がり。
対物レンズを覗いた様子。
接眼レンズを覗いた様子。
アイピース×66倍を装着。
照門から照星を覗いた様子。
三脚台座の様子。
アイピースを外した本体重量は241g。
アイピース×16組品の重さは21g。
アイピース×66組品の重さは17g。
👉メモ アイピースについて
アイピースの胴径を測ると31.8-31.9mmだった。
中途半端なサイズだな-と思っていたが、この径には意味があり、望遠鏡接眼レンズの規格の1つである アメリカンサイズ=1.25インチに沿った仕様になっているとのこと。
つまり、いろんな天体望遠鏡メーカーの“アメリンカンサイズ接眼レンズ(呼称径31.7)”も使用できるということらしい。
このプラモデルっぽい天体望遠鏡にどこまで追加投資できるか、の問題。
他社のアイピースと交換することで、キット標準の倍率に加えて、さらに精度の良い広視野の望遠鏡にもカスタムできる仕様になっている。
解説動画
国立天文台NAOJによる解説動画が用意されてる。
文章と写真だけでは判りにくい部分の参考に。
まとめ
この天体望遠鏡キットは全体がプラスチック製で丈夫にできている。
組み立ても接着剤などを使わず、ネジ締めだけでカンタン。
「望遠鏡の中身は?どうやって使う?」など初めての天体入門する人たち子供たちでも手軽に扱えるところが良い。
実際の性能はどうか?については、学研版は12倍と25倍、国立天文台版は16倍と66倍と元からの倍率の違いもあるが、あまり大きな差は無いように感じる。※個人感
耐久性は紙筒の学研版と比べればこちらプラスチック製の方が上。
また操作性についても、アイピースの着脱などこちらの方が楽にできる。
【追記】
時々使ってほとんどは部屋に置いておくだけ的な使い方になりそうな本品。
まっ黒な筒で味も素っ気もない外観を少しでも見栄え良くすることに。
国立天文台│NAOJ 監修『 天体望遠鏡』カッティングシート貼り
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