【DIY修理】HAKKO│白光 “はんだこて ケミカルペースト” 使い方│感想

修理

こて先 お手入れケミカルペースト再メッキ│その方法  

 

長く使い込むと黒ずんだり煤汚れの様になってくる『はんだこて』の先。

 

まっ黒になると、はんだが乗らず使い物にならなくなる。

そうなる前にの早期メンテナンス、コテ先の再生メッキをやってみる。

 

 

 

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コテ先の劣化

コテ先が黒くなる理由

新品状態のコテ先は銀色に光っている。

 

しかし使っていく間にだんだんとうす黒く変色を始める。

薄い内まだ良いが、真っ黒な黒錆びになると、はんだ材の乗りが悪くなってくる。

 

困ったことにこの黒変色は、クリーニングスポンジやクリーニングワイヤーで掃除しても取れない。

 

写真⇩ T12シリーズD型の例│右は新品

 

この「黒ずみ」はコテ先の金属層の酸化

酸化は高温に晒され続けるほど進行する。

 

はんだ鏝なので高温になるのは当たり前だが、長時間空気に触れていなければ酸化は急激には進まない。

通常コテ先は、“糸はんだによる被膜(メッキ)作用”によって空気に触れにくく、それが保護になっている。

 

しかし「糸はんだがコテ先に残っていない状態で放置すると、鉄の部分が空気に触れたままの状態が続き、その繰り返しが酸化を早めてしまう」

ということらしい。

 

酸化がさらに進んでしまうと、真っ黒な煤状になってどうにもならなくなる。

そうなる前に、早め早めのメンテナンスをすればコテ先を長寿命化できる。

 

 

コテ先の再生方法

材料と道具

1.メッキ材料

コテ先の再生には“FS-100 ケミカルペースト”という、錫の粉末金属を用いる。

 

フラックス(有機酸)が混ぜ合わされ、ペースト状になっている。

 

色は月面のようなシルバー色。

 

粒子の細かい湿った砂のような感触。

 

gootにも同等の商品があり、効用もほぼ一緒。

 

2.掃除道具

1)濡れスポンジ

残ったはんだカスや汚れを落とすために使用。

 

通常のはんだ付け作業なら温度の下がらない「金属タワシ」を使うことが多い。

 

今回はコテ先に付くフラックスのカスや焼け汚れをゴシゴシと拭き取りたいので、あえて「濡れスポンジ」を用意。(または濡れ雑巾)

 

 

 

2)脱脂クリーナー

コテ先を再メッキする前に、皮脂油分やフラックス成分を除去するために使用。

 

3)サンディングペーパー

濡れスポンジや脱脂クリーナーでも除去できない部分は、サンディングをする。

 

あくまで酸化した表層のみを磨くだけなので、1500~2000番くらいの極細目で。

 

コテ先のクリーニング

1.コテ先の汚れ落とし

まずは濡れスポンジでコテ先の残りはんだや汚れを落とす。

 

ほど良く濡らしたキムワイプ等で擦り落としてもOK。

 

10分ほど放置してコテ先が冷めたら、スリーブから外す。

 

2.コテ先の研磨

クリーナーで落としきれない「煤汚れ」や「焼き付き」は、サンディングペーパー(紙ヤスリ)で落とす。

 

削るのではなく磨くのが目的なので粗くないモノ、目安は1500番~あたりの細目。

 

クロム層や下の層まで削ってしまわないように、変色部分だけ磨くような感じで。

 

1500番で磨いたら、2000番くらいで仕上げる。

 

3.コテ先の脱脂

煤落としが済んだらコテ先を脱脂。

 

コテ先に触れないように(皮脂をつけないように)スリーブに通し組み立てる。

 

コテ先のケミカルメッキ

FS-100 ケミカルペースト付属の説明書。

 

「コテ先温度は350℃くらいに」と書かれている。

 

温度を確認。

 

いよいよメッキ作業。

 

ケミカルペーストに浸し漬ける。

 

コテ先を入れた瞬間、煙が上り、ペースト剤がブクブク泡を出して煮立つ。

 

そのまま2-3秒、漬け込む。

 

裏返してもう片側も2-3秒。

 

初めてで要領がつかめず、ちょっと深く漬け過ぎたようだ。

 

コテの上の方まで錫メッキが飛び散ってしまった。

 

あまりに汚いので、掃除して遣り直すことに。

 

付け過ぎたケミカルペーストを掃除した後の様子。

 

ちなみに、コテ先の薄茶色はメッキ層が出来始めている過程の色らしい。

 

上での初回の失敗原因は、コテを寝かせてケミカルペーストに漬けてしまったこと。

 

だから余計な部位にまでペーストが付着した。

“コテ先だけ”を浸せば良かったのである。

 

今度は注意して、寝かせずゆっくり垂直に浸漬させる。

 

メッキしたい先端のみを、2秒ほど漬ける。

 

すぐに拭き掃除して、

 

もう一度、浸漬。

 

長時間つけ込んでも汚くなるだけで効果は一緒。

 

少し盛り上げるくらいの分量で十分らしい。

 

👉気づいたこと

このFS-100ペーストの”容器”、深さが7mmほどになっている。

 

7mmというサイズ!?

 

これは、こて先のメッキする長さに相当する。

 

つまり、こて先を底に当たるまで垂直に立てれば、ちょうど先端7mmを浸すことができるのだ。

これを意識して、同じ要領でケミカルペースで錫メッキを繰り返す。

 

写真⇩ 先端以外を汚さず、上手くメッキされている。

 

次は“糸はんだ”を使う処理。

 

すぐ作業しやすいよう近くに準備。

 

もう一度クリーニングして余分なメッキを落とす。

 

そして3回目のケミカルペースト漬け。

 

時間は短めに1-2秒。

 

コテ先は垂直に。

 

コテ先を抜いたら、すぐに“糸はんだ”を両面に盛る。

 

そしてまたクリーニング。

 

イイ感じに先端メッキが出来上がっている。

 

念には念を入れて、4回目のケミカルペースト漬け。

 

1-2秒さっと浸したら、

 

またすぐに糸はんだ盛り付け。

 

計4回の錫メッキ&糸はんだコーティングを繰り返し、終了。

 

新品同様とはいかないが“はんだ乗り”はかなり改善された。

コテ先の酸化具合でこの工程を3~5回繰り返して、メッキ層を復活させる。

 

しかし、もしこれを数回やってもメッキが乗らない場合は・・・

 

残念ながらコテ先の寿命かも知れないので買い直すしかない。

 

 

 

コテ先を長く使うための3か条

コテ先を再メッキできるケミカル剤があるのは助かるが、だからと言って日頃のメンテナンスの手を抜いていいわけではない。

 

黒くなる=酸化(黒サビ)なので、それだけコテ先が侵蝕され寿命は縮まっていく。

それを防ぐ=コテ先の寿命を延ばす注意事項は3つ。

 

  • 高温状態を続けない

             ➡ 終わったらすぐ電源を落とす&次作業があっても小まめに電源を切る

  • 急激な冷却や過熱をしない

             ➡ 水で急冷する&設定温度を上げ過ぎる等は金属の劣化を早めるので避ける

  • なるべく空気に晒さない

             ➡ 掃除の後&作業の後はコテ先にはんだ盛りをしてから電源を切る

 

 

参考サイト

 

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