自作『バナナプラグ スピーカーケーブル 』はんだ不要│SCREW FIXING
小物DIY工作シリーズの第二弾。
DIY #2 『4mmバナナプラグ+BELDENスピーカーケーブル』
オーディオ機器アンプとスピーカーをつなぐ“スピーカーケーブル”を作ってみた。
はんだ付けするタイプもあるようだだけど、簡単なネジ式バナナプラグを使用。
ケーブルは Belden製の8473(14AWG)。
プラグは Sewell製のSTRIKE。
熱収縮チューブはオーム電機のDZ-TS468AS。
バナナプラグ・スピーカーケーブルの作り方
1 材料の準備
使うパーツは2種類。
スピーカーケーブル2本とバナナプラグ8個。
あとケーブル端の保護用に熱収縮チューブ。 ※これは無くてもOK
1)スピーカーケーブル
これまで使っていたのはBELDEN製の8471というもので太さは16Gだった。
8471の仕様は 導体芯線/1.31㎟で径が約7.0mm。
これを今回1まわり太いサイズ14Gの8473にしてみた。
8473の仕様は 導体芯線/2.07㎟で径は 約8.6mmとなっている。
8473の外径を実際に測ってみると約φ9.2mmある。
参考重量は250g/2.6m。
2)バナナプラグ
Sewell(米国)というメーカーのバナナプラグ。
選んだのは“STRIKE”というタイプ。
理由は4種類の中で一番コンパクトな形だったから。

©SEWELL
国内では高値だったので、Sewellメーカーから直販購入した。
スピーカーケーブルを2本作るのに必要な端子は8個だけ。
実測値は長さは約38mm。
ケース部分の太さは約10mm。
ケーブルの入る内径は約7mm。
重さは1個で9g。
4個だと36g。
1本2.6mのケーブルも加えると286gになる。
3)熱収縮チューブ
参考までに今まで使っていたケーブル8471
比べると(バナナプラグ形状が違うので正確ではないが)100g以上の違いがある。
実物を持って気づいたのだが、太くなれば重くなるのは当然。
最短で接続しようと考えているので、ケーブルは床に這わせない。
機器からスピーカーまで宙づりで渡すイメージ。
つまりプラグ端部には宙づりケーブルの重さ負荷がかかることになるので、その負担を少しでも軽減できればと、プラグ直近のケーブルをちょっと保護することにした。
そこに使ったのが熱収縮チューブ。
わずか0.3mmの素材だが、あると無いとでは違いが出る(はず)。
2 工作の手順
1)準備
下準備として、左右で同じ長さのケーブルを2本作る。
「切り売り5m」を買ったのだが、届いたものは5.2mあった。
なので、1本が2.6mになるように正確にカットする。
2)外被覆を剥く
ケーブルの外被覆をどれくらい剥けばいいのかを検討する。
バナナプラグ本体はネジ式で二つに分離できる。
スピーカーケーブルは、「シース」と呼ばれるビニル外被覆(灰色)の中に芯線が2本(黒色と白色)が入った構造になっている。
この外被覆ビニルだけを剥いて取り除き、中の芯線(黒と白)を出さないといない。
外被覆を剥く長さについて。
プラグ内に差し込まれる部分が約20mm、プラグ外に出す部分も約20mm。
合計で40mmほど剥けばいいと判断。
外被覆に目印をつけ、カッターナイフで「外周」に切り込みを入れていく。
当然だけど、中の芯線に傷をつけないように注意する。
少しずつ様子を見ながら外被覆を切れ目を入れる。
片側だけから一気に切ろうとするのは良くない。
ケーブルを転がすようにして外周に少しずつ切れ目を入れていく感じ。
ゆっくり切り回し、最後の一重(1mm未満)を残す状態になったら一度やめる。
後は薄く残った被覆をねじったり回したりすれば指で切り離せる。
外被覆を切り取った様子。
3)芯線の被覆を剥く
次は中身の芯線の皮を剥くので、それぞれ剥く長さを調べる。
プラグ内の構造から、芯線の被覆を剥く長さは5~10mmあれば十分と判明。
目印をつけたら、ワイヤーストリッパーという工具を使って被覆カットする。
使ったのは下写真のようなニッパー・タイプ。
大抵ゲージ表示があるので、「14AWG」の穴を見つけて芯線を挟む。
挟み切って少し回すようにすれば、被覆だけ切り離すことができる。
両端とも同じ要領で剥いていく。
ちなみに・・・
半自動で被覆剥きができる“マルチワイヤーストリッパー”という製品もある。
この細さの芯線なら2本まとめてワンアクションで被覆剥きができるので便利なのだが、その構造上、線材を咥える部分にギザギザ跡がくっきり残る。
芯線をできるだけ傷つけたくないのに、これで傷をつけては意味がない気がする。
咥え傷がイヤな場合は、普通のニッパー式のストリッパーが良いと思う。
4)熱収縮チューブをかぶせる
皮むきが終わったら、熱収縮チューブをかぶせる。
これは絶対に必要なものではないが、プラグ根元の傷防止、安心のためである。
オーム電機の熱収縮チューブDZ-TS468ASには黒/白/灰の3色がセットになっていて、各色にそれぞれ3つのサイズ(φ4・φ6・φ8)がアソートされている。
Beldenのスピーカーケーブルは外被覆がグレー、中芯線がブラックとホワイト。
この配列にオーム電機の熱収縮チューブ3色がちょうど良かった。
チューブφ8mm/灰色 ⇒ 外被覆の保護用に。
チューブφ4mm/黒色と白色 ⇒ 芯線の保護用に。 ※φ6mmは今回使わない
チューブの長さは50mmあるので、
φ8×50mm(灰)からは 外被覆用の25mm長が2本、
φ4×50mm(黒と白)からは芯線用の15~20mmがそれぞれ2~3本作れる。
1つ注意。
一番太い熱収縮チューブがφ8mmだが、φ9の8473にかぶせるのは少し窮屈。
なので、荒業ではあるが、プライヤなどでチューブをちょっとだけ広げ気味にしておくとかぶせやすくなる。
それぞれの長さを切り出したら、ケーブルに仮かぶせして確認しておく。
熱収縮の加工するためにヒートガンを用意。
まずは芯線から。
芯線の導体部分が最低限だけ出るように熱収縮チューブの位置決めをする。
位置が決まったら、先端部分から熱風をあてていく。
白色、黒色とも熱収縮加工が完了。
次に、外被覆の熱収縮チューブ加工。
黒と白の芯線をまとめて覆うように&外被覆の先も保護できるように、φ8チューブの位置決めをして熱収縮加工する。
5)バナナプラグの装着
バナナプラグを用意。
オーディオやスピーカーのケーブル界では「黒マイナス」という慣例?があるとのこと。
なので芯線の白色をプラス(+) 、黒色をマイナス(-)とし、
バナナプラグもあわせて赤ラベルをプラス(+) 、黒ラベルをマイナス(-)とする。
分解したバナナプラグの下ケースを先に芯線に通し、
芯線の先=導体(銀色の撚線)を上ケース側にある凸型端子に押し込む。
凸型の端子部分に押し付けたまま、下ケースと上ケースをネジこんで締める。
強く締めこんで、ケーブルを引っ張っても抜けてこなければOK。
両端とも同じようにバナナプラグを締めこめば完成。
Sewell STRIKE & Belden 8473 使用例
スピーカーのジャックに接続。
アンプ周り。
まとめ
以前は既製品を買っていたスピーカーケーブルだが、パーツ2種類だけで簡単に作ることができた。
作業時間は10~15分程度。
実際に一番手間がかかったのは、正確に2本のケーブルを切り出す作業だった。
巻いた状態で配達されるケーブルに巻癖はあるし、そこそこ重いし、長尺物を伸ばし揃えて寸法を測って、2本を揃えるように正確に切り出さないといけない。
スピーカーケーブルは短い方がいいとか、太ければいいもんでもない等々、いろいろ情報がある中で今回はケーブル径を1サイズ太くしてみたわけだが、、、
正直なところ自分には音の差が判るようなものでもなかった。
自分で作った!太くなって立派に見える!というほぼ自己満足なDIYである。