光回線『NEC Aterm AM-AX11000T12』設置│レビュー
工作室/PC部屋に10G回線を引く計画の第三弾。
先日導入したコミュファ光の10G回線。
有線LAN環境で問題なく運用中なのだが、無線LANの方はホームゲートウェイ(ONU)のまま手つかずになっている。
一度コミュファ光オプションの“メッシュWi-Fi”を試してみたことがあった。
コミュファのホームゲートウェイ機もそうなのだが、オプションで送られてきたメッシュWi-Fi機(BUFFALO)もWi-Fi「6」だったので期待したほどの効果を感じられず、解約した経緯がある。
そこで今回はWi-Fiを“6E”を目標に『無線LAN環境を強化する』計画である。
Wi-Fi 6E おさらい
1 周波数帯の違い
Wi-Fi 6に対してWi-Fi 6Eの大きな違いは「6GHz帯」を利用できること。
Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6E | |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11ax | IEEE802.11ax |
最大通信速度※理論値 | 9.6Gbps | 9.6Gbps |
周波数帯 | 2.4GHz帯/5GHz帯 | 2.4GHz帯/5GHz帯/6GHz帯 |
帯域幅 | 20MHz/40MHz/80MHz/160MHz | 20MHz/40MHz/80MHz/160MHz |
2 メリットとデメリット
6GHz帯が使えるメリットとデメリットはだいたい次の通り。
- 高速通信できるチャンネル数が多い〇
- 6GHz帯は干渉する通信機器が少なく混雑回避できる〇
- 周波数帯が拡張されることで速度低下や遅延が少なくなる〇
- DFS(重要電波を優先する動的周波数選択)による遅延が発生しない〇
- ルータを含め全て対応機器が必要✖
- 2.4GHzや5GHz帯よりも障害物による減衰が大きい✖
- 対応機器がやや高額✖
Wi-Fi 6E 対応機器
Wi-Fi 6E環境にするためには光回線のONU以降、全ての機器が対応していなければならないので、
現状をふまえてを検討した。
1 ホームゲートウェイの仕様
現在使用中のホームゲートウェイはF5648という機種で、Wi-Fi 6Eには非対応となっている。
F5648 | F5748Q | |
Wi-Fi 規格 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6E / 7 |
Wi-Fi規格 | IEEE802.11ax | IEEE802.11ax / be |
最大通信速度※理論値 | 9.6Gbps | 46Gbps |
速度 | 2.4GHz → 1.15Gbps 5GHz → 4.804Gbps 6GHz → 非対応 | 2.4GHz → 1.376Gbps 5GHz → 5.768Gbps 6GHz → 11.5Gbps |
※F5648は2024年下半期ごろまで
※5748Qは2024年後半ごろ~現行機種
2 PCの仕様
メインのhpデスクトップPCの無線LANアダプターはIntel/AX211、Wi-Fi 6E対応。
3 無線LANルータの選択
PCはWi-Fi 6Eに対応しているものの、大もとのホームゲートウェイは未対応。
そこでWi-Fi 6Eに対応した無線LANルータを増設することで、無線LANの強化をすることにした。
BUFFALO、TP-LINK、ASUSなどある中、選んだのはNECのAterm(エイターム)。
理由は長年Atermシリーズを使い続けていて特に故障やトラブルの経験がなかったことと、日本製であることを重視して最有力候補になった。
1.Aterm PA-WX11000T2の特徴
決めたのは現行のAtermシリーズの中で評判の良い「PA-WX11000T12」。
特徴は以下の通り。
- 【Wi-Fi 6E対応】6GHz帯の利用により最大4,804Mbps(規格値)高速通信が可能
- 【トライバンド対応】3つの通信帯域を使うから安定通信が可能
- 【10Gbpsポート】10Gサービスを最大限利用できる10Gbps有線LANポート搭載
など
NEC Aterm Station 公式は ⇒ こちら。

©NEC Aterm
2.Aterm PA-WX11000T2の品番
さっそくPA-WX11000T2をAmazonで購入することにした。
だがしかし・・・
このモデル(品番)がどうしても見つからない。
人気商品らしいので欠品かもと思いながら調べたが、やっぱり無い。
どういうことか?
結果「PA-WX11000T12」はAmaonでは売られていなかった。
「PA-WX11000T12」は一般モデルの品番、Amazonでは「AM-AX11000T12」という品番で販売されていてWX11000T12を扱っていないのが理由だった。
ただ「PA-WX11000T12」と「AM-AX11000T12」は販売ルートが違うだけで同一商品である。
この事がAmazonの購入ページに記載されていなかったので迷ってしまったのだ。
3.Aterm AM-AX11000T12/MSの特徴
改めて、今回Amazonから購入したのは「AM-AX11000T12/MS」というモデルになる。

©Amzon
AM-AX11000T2の末尾に「MS」が付いたこの製品は、2台セットの商品。
何が違うのかというと「AX11000T12が2台1セット」になっていて、工場出荷時に1台が親機+もう1台が子機としてメッシュ設定済みになっている。
主な特徴は上記(1.)に加えて、
- 親機とメッシュ中継機の2台セットモデル
- ペアリング済みなので、親機-中継機の接続設定が不要
- Amazon専用のツメ折れ防止LANケーブル付き
- 環境に配慮した簡易包装でお届け
など
ちなみに一般モデル「PA-WX11000T12」は単体販売のみで、セット商品はない。
もちろん自分で設定すれば、一般モデルWX11000T12を複数台用意してメッシュ環境を築ける。
AM-AX11000T12/MSの設置
1 AM-AX11000T12/MSの概要
1.簡易包装
商品番号がラベルされただけの素っ気ない無地ダンボール。
AM-AX11000T12が2台まとめて1箱に。
中箱には、一般モデル「PA-WX11000T12」と同等商品であるという記載がされている。
2.開封
「メッシュ中継機 設定済み」と書かれた方がメッシュ子機らしいので、そのラベルの無い方(つまり親機)のAX11000T12から開封。
説明書類の下に本体と電源アダプター。
3.内容
付属品は、説明書類(つなぎかたガイド・Atermシリーズセット品のご利用にあたって)、Cat.6Aケーブル、そして電源アダプター。
左奥にある赤い印刷冊子はTREND MICROセキュリティソフト(90日間無料)の案内。
4.外観(親機)
ホワイト×ブラックの外見、どこかのゲーム機を連想させる。
正面にはLEDインジケータが並ぶ。
右の側面、Atermロゴが下部中央に。
ウイルスバスターのステッカーシールが貼られている。
左の側面には通気口。
背面にはポートが並ぶ。
上面には薄く「Aterm WX11000T12」のモデル名。
ここはAX11000T12ではなかった。
底面には透明スタンドが取り付け済みで、中央にSSIDや暗号化キー等の表示ラベル。
電源アダプタは12V 3.0Aの仕様。
5.外観(子機)
外箱には「メッシュ中継機」のラベルがある。
中身は親機と同じAX11000T12。
並べても当然、同じ。
唯一の違いは、子機にだけ「メッシュ中継機 設定済み」ステッカーシールがある。
6.サイズ(共通)
奥行き幅は約257mm。
高さは約236mm。
厚み幅は上部で約34mm。
下部スタンドで約90mm。
重さは1376g。
7.説明書
AM-AX11000T12/MSに入っている説明書『セット品ご利用にあたって』。
これはメッシュWi-Fi設定済みセット専用の注意書きで、他の『つなぎ方ガイド』よりも優先して読んだほうがよい。(と後で気づいた)
メッシュ親機、メッシュ中継機の識別について書かれている。

©NEC Aterm セット品ご利用にあたって
『つなぎかたガイド』はWX11000T12表記で書かれている。
先に見てしまうと、機種が違う?と焦ってしまうかもしれない。
AX11000T12と共通、くらいの表示があったら親切かと思う。
Atermサポート公式『つなぎかたガイド(pdf)』は ⇒ こちら。
2 AM-AX11000T12/MS の接続
工作室/PCまでのLAN経路イメージ。
ホームゲートウェイはルータ機能のみとし、AX11000T12 ×2台をメッシュWi-Fi機器として使う。

©NEC Aterm ユーザーズマニュアル引用
写真⇧ ホームゲートウェイ(ONU) ━ AX11000T12(親機) ━ AX11000T12(子機) は有線接続
以降の設定ではルータ本体のスイッチ操作やLEDインジケータの確認が必要になる。

©NEC
1.メッシュWi-Fi 親機
親機(1台め)の接続。
ここからは、NEC Aterm『つなぎかたガイド』をもとに設定を行っていく。
光回線の終端装置がONUのみの場合、AX11000T12を“ルータ”に設定することになるが、ここではホームゲートウェイ機がONU+ルータ機能を備えている。
なので、ルータが重複しないよう親機AX11000T12のルータ機能はオフにしておく。

©NEC Aterm つなぎかたガイド
1)親機のモード設定
ルータOFFの設定するため、背面のモード切替スイッチを[BR=ブリッジ]にする。
2)電源ON
AC電源アダプタのコードを挿すと自動的に電源ONになる。
前面LED[PWR]点灯を確認。
3)親機のLANケーブル接続
コミュファのONUホームゲートウェイとつなぐLANケーブルを用意。
ここはあえてAX11000T12のおまけ品は使わず、別途Cat.6Aのケーブルを用意した。
現状のホームゲートウェイのLAN配線を確認。
一次側[WAN]ポートに光ケーブル(黒)、二次側[10G LAN]ポートには他室へ渡るLANケーブル(水色)が繋がれている。
これから繋ぎ変える。
水色LANケーブルの先(他室)には子機AX1000T12を設置する予定。
なので、親機AX11000T12の二次側[LAN-1]ポートにこの水色ケーブルをつなぐ。
次に、親機AX11000T12[WAN]ポートへはホームゲートウェイ[10G LAN]ポートからのLANケーブルとつなぐ。
2.メッシュWi-Fi 子機
子機(2台め)の接続。
通常は NEC Aterm『つなぎかたガイド』をもとに設定を行うのだが・・・
AX11000T12/MSのセット品はメッシュWiFiの設定が工場出荷時に完了している。
なので、この手順はしなくてもよい。
1)子機のモード設定
最初に読んだ『セット品ご利用にあたって』を参考に、モード切替の確認だけしておく。

©NEC Aterm セット品ご利用にあたって
メッシュWi-Fiの子機(中継機)にするため[MA=メッシュエイジェント]の位置に。
※AX11000T12/MS セット品の場合、子機は工場出荷状態で[MAモード]になっていた。
2)電源ON
親機と同じくAC電源アダプタのコードを挿すと自動的に電源ONになる。
3)子機のLANケーブル接続
前項、親機AX11000T12の[LAN-1]ポートからのLANケーブルを[WAN]ポートにつなぐ。
子機[LAN-1]ポートからPCへLANケーブルをつなげば、有線LANの配線は全て完了。
AM-AX11000T12/MSの速度
接続の確認をするため速度を測ってみた。
1 ホームゲートウェイF5648のみ
1.有線LAN
【コミュファ SPEED TEST】
【FAST.com】
2.無線LAN
【コミュファ SPEED TEST】
【FAST.com】
2 AX11000T12 ×1基(ブリッジWi-Fi)
1.有線LAN
【コミュファ SPEED TEST】
【FAST.com】
2.無線LAN
【コミュファ SPEED TEST】
【FAST.com】
3 AX11000T12 ×2基(メッシュWi-Fi)
1.有線LAN
【コミュファ SPEED TEST】
【FAST.com】
2.無線LAN
【コミュファ SPEED TEST】
【FAST.com】
まとめ
1 有線LAN/無線LANの測定結果
ホームゲートウェイ(HGW)のみとAX11000T12のBR/MA追加の比較。
【速度測定 一覧表】
Commufa SPEED TEST | FAST.com | |||
有線LAN | 無線LAN | 有線LAN | 無線LAN | |
HGW F5648 | 1.7/3.2 | 0.8/1.0 | 1.9/2.6 | 1.0/0.8 |
AX11000T12 1台 | 1.8/3.2 | 1.7/1.5 | 1.9/2.4 | 1.9/1.7 |
AX11000T12 2台 | 1.7/3.3 | 1.7/1.4 | 2.3/2.5 | 2.1/1.3 |
※ダウンロード値/アップロード値(単位:Gbps)
※測定時間は比較的安定していたAM3時頃の平均値
有線LAN接続の場合、ホームゲートウェイF5648直とAX11000T12(ブリッジモード)を介した下り速度は1.7~1.9Gbpsあたりでほぼ同等だった。
無線LANの場合、F5648単体(Wi-Fi 6)は下り上りも0.8~1Gbps止まり、AX11000T12(Wi-Fi 6E)が入ると、下り~1.9Gbps、上り1.7Gbpsほどの平均速度となった。
2 AX11000T12/MS メッシュWi-Fiの感想
良いところ
- 「Wi-Fi 6E」導入の効果を十分に感じられる
- 「メッシュ親機/子機設定済み」はとてもラクだった
- 一般モデルWX11000T12を2台購入するよりもお得
- 安心できる日本製
良くないところ
- 一般モデルWX11000T12とAX11000T12の違いが解らなかった
- 本体が重くて大きく壁掛け出来ない構造なので設置場所を選ぶ
- 消費電力が約38W/1台なのでF5648(約30W)と合わせると計106Wに
- RTモード・MAモードではクイックweb設定に手間がかかる
3 今後の課題
1つめ。
AX11000T12をルータとしてつないでいる場合は、ネット経由で(例えばファーム更新など)Web設定ができるのだが、BRモードとMAモードではそれができないとのこと。
Web設定をするには1台ずついったんRTモードに切り替えて繋ぎ直さなければならないようだ。
しかしモードを変えてしまうとメッシュ関係もリセットされてしまうので、Web設定をした後は毎度、初めからメッシュ設定をやり直しになるという意味にもになる。
書いてるだけでも面倒になってくるのだが、ファームェア更新などもしたいので、これについて後日また検証してみたいと思う。
2つめ。
上記感想にも書いたが、消費電力が約38Wもある。
ホームゲートウェイもAtermルータもたいていは24時間365日稼働しっぱなし。
つまりそこそこ電気代がかかり続けることになる。
速度も大事だが無駄な出費は抑えたい。
クイックWeb設定画面で不要な機能をオフにするなど弄ることで、いくらかでも消費電力を抑えられるらしいので、1つめの問題と合わせて後日やってみたいと思う。
3つめ。
そもそも今回の計画は、ホームゲートウェイ機が「Wi-Fi 6」だったことが発端である。
つまりホームゲートウェイF5648を、Wi-Fi 6E対応のF5748Qに変更してもらうのが先決かもと考えたりもした。
しかしホームゲートウェイはONUでもあるので、交換する=光ファイバー接続工事になる。
コミュファに工事の予約をしなければならないし、数か月を待たなければならない面倒さもあって今回は手軽なWi-Fiルータ追加を選んだ。
ホームゲートウェイのWi-Fi 6E対応機への交換費用は3300円である。
もしかしたら、ゲートウェイのW-Fi 6E化+AX11000T12(1台)でも6Eのメッシュ環境は快適かもしれないし、そうできれば省電力にもつながるような気がする。
いずれ改めてホームゲートウェイ機の交換も考えてみたい。